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 不二山に脱いでおけと言われたので、パーカーもその下の長袖Tシャツも脱いで棚の上に上げる。その間に不二山も肩に引っかかっていただけの柔道着を脱いで横へ投げていた。
「うえっ、顔の方までベタベタだ……新名飛ばし過ぎ」
「だ、だって中に出しちゃアレだと思って……! 」
 達する直前に慌てて抜いたので、腹の上に出すつもりが不二山の首から顎下のあたりにかかってしまったのだが、飛距離的には頭越えだった。つまりそのぐらい興奮していた。
 不二山がその顎の下を手の甲で拭って――ぺろりと舐めた。
「…………不味い」
「あらしさん…っ…」
「うわっ、なんだ新名おまえがっつきすぎ! 」
「アンタがエロいからだろ!? ていうか何なの? 嵐さんホモ!? 」
 興奮に任せて両手で腰を掴むと不二山の体が期待するように震えて、それにもまた興奮する。脚を開かせて先端を擦りつけるだけで、さっき入っていた気持ちのイイ場所を体が思い出してスイッチが入った。
「ん、っあ」
 お返しとばかりに、不二山の胸のあたりにかかった精液をベロッと舐めてみる。乾燥しかかっていて粉っぽく、不味かった。
(……こんなので興奮するとか……オレのがよっぽどホモじゃん……)
 そのまま鎖骨の辺りや乳首を舐めていたら「くすぐってえよ」と頭を押された。
「くすぐったい? ……じゃ、そのうちオレが開発して気持よくしてあげんね」
「……んっ、バカ。変態」
「変態って……お言葉ですけど嵐さん、オレが来なきゃあのまま先輩たちにヤられちゃってたんじゃん」
 さっきよりは若干余裕を持って先から徐々にめり込ませていくと、不二山が「あ」とか「ん」とか短い息を漏らす。
「……うるせぇ…っ、そうだとしても、黙ってやられねーよ……」
「どうだか。今だってこんな、自分から腰擦り付けてきてるくせに」
 顔だけは気丈に反らしているくせに、新名の腕に甘えるように手を絡ませ、自分から腰を浮かせて来ているのは不二山の方だ。新名に指摘されるとまた片腕で顔を隠してしまった。
 よく見えないけれど、顔が真っ赤なような気がする。
 
「おまえだからだろ、こんなこと……」
 
「あ、嵐さん……」
 ゴクリと音を立てて新名の咽喉仏が上下する。え、今なんて? それってどういう意味? もしかして嵐さんオレのこと……
(いいや、この人にはもう騙されねーぞ…!! )
 ものすごく天然な上に鬼畜な先輩2人に翻弄され続けた高校生活を思い出す。
 期待すればかわされて、真に受ければからかわれ、おとなしくしていても意地悪をされた。ずっとそんな感じだった。けれど、どんなにオモチャにされても――ひとたび優しい声で呼ばれれば、尻尾を振って不二山の後をついて行くことを選んできたのは新名自身だった。
 他にもたくさん選択肢はあったのに結局一体大を選んだのも、少しでも不二山の近くに行きたかったから、不二山に何かあれば一番そばで支えたかったからだ。今日に限ってしつこく不二山を探さないといけないような気持ちになったのも、そういうテレパシーのようなものだったのかもしれないと思う。
(そっか、オレの方が……嵐さんのこと好きだったんだなぁ)
 
「く、っあ…! 」
 顔を近づけようと不二山の腕をどけさせ、体を折り曲げると角度が変わってズクンと下半身に響く。不二山も涙目だった。
「嵐さん……」
 名前を呼ぶと不二山が目線を上げ、また新名の首に腕が回される。
 そして、一度だけなら気分が盛り上がってたまたまだと言い訳もできたが、もう言い逃れは出来ない二度目のキスをした。
 
 
 
 
 
「オレ、嵐さんとこんな風になりたかったかって言ったらわかんねーけど、具体的にこういうことしてわかったことがある」
 2戦目を終えてシャワーでお互いの体を洗い流しながら、新名が一大決心をして言った。
「オレ、アンタが好きだ」
 本当に一大決心だったのだ。
 それなのに不二山はプイと背中を向けて、一枚しか持ってきていなかったペラペラの粗品タオルでさっさと体を拭き始める。
「男が簡単に好きだとか言うな」
「えー、この場面でその反応はねぇわー……」
 柔道着の上衣はベタベタとして湿っていたので着るのは諦めてグルグル丸めると、不二山は新名が最初にタオルと帯と棚の上に上げておいてくれた下衣だけ穿いた。男ばかりの武道場棟なので、上半身裸でシャワー室から出てくる部員などざらにいるから問題ない。
「今日は、たまたま、俺が変な薬盛られたせいでこんなことになったけど、俺だって男なんだからな」
 自分が使った後のタオルをポイと新名に投げ寄越しながら、ぶっきらぼうに言う。
「えっ……まさか嵐さん、逆がよかったとか……? 」
(いや、まさかも何も男なんだから当たり前か……もちろんその相手は女の子なんだよな……)
 不二山はやっぱり後悔しているんだろうか。ちょっと落ち込んでしまった新名に、不二山がさっきよりは小さな声で告げた。
「それはねぇよ。俺は結婚するまで童貞を守る」
「マジかよ、パネェ。ていうか嵐さん結婚しちゃうの? 」
 オレという者がありながら! と、一回寝たぐらいで彼女気どりになる女のようなウザさで不二山の背中にすがる。
「……そんな予定は、ない」
「ってことは……やった! じゃあ嵐さんはオレの嵐さん!? 」
 後から抱きついてきた新名に「今のところは、だぞ……」と溜め息をつきながら、不二山は回された腕にそっと手を添えた。精一杯呆れた声を出したが、新名からは見えないその口元は確かに笑っていた。
 
 
 
 その後、昼食時間に合わせてトレーニングルームから引き上げてくる他の部員たちが次々にシャワー室を出入りして出るに出られなくなり、結局食堂に行けたのは昼休みも終わりかけの頃になってしまったのであった。
 
 
 
 
 
 
終わり

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あとがき

「もう終わりか?」「っ、まだまだ!」っていうのを性的な意味でやっていただきたかった…(笑)
甘い罠ってタイトルの歌は有名なのがいっぱいあるみたいですが、イメージ的に宇多田ヒカルさんの歌詞がしっくりきたなーって感じです。タイトルは最後まで『恋の奴隷』とどっちにするか迷いました(笑) ♪あなたの膝に絡みつく子犬のように~(←ニーナのことw)
先輩たち一生懸命お膳立てしたのに、完全にニーナが油揚げをさらったトンビ状態でゴメンw
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